季報68号読後雑感 ●もたい 宏實 一日違いで生死の分かれた例は他にもありましょうが、特攻隊で飛び立った兵士の妻が自殺。飛行機不調で兵士帰ってきたら、妻はもうこの世の人ではなかった等々悲しい事が一杯あった様です。 小生の戦争記憶では、B29のまわりを日本の戦闘機がハエがたかるように飛び回っているのを見ていた位で、実戦感覚は全くない(子供でしたから)のですが、印象に残っているのは、終戦直前の8歳9歳の頃でした。庭に面した縁側でドンブリ飯を食べていたら垣根越しに見えたらしく、同年齢位のガリガリにやせた男の子が倒れそうになりながら「何日も食べていないので食べさせて下さい」と入って来ました。見ず知らずの家の庭へフラフラ現れたのです。食料難の時期に3人の子を抱えていた母は食事を与えませんでした。「お父さんは特攻隊で死んじゃいました。お母さんは家にいないで勤労奉仕に行っています」とその男の子は言ってトボトボと出ていきました。母はその子のランドセルをのぞいて「何も入っていないよ」と言いました。筆箱の鉛筆がカラカラ音をたてていました。それ以来、私は出された食物を残せなくなりました。 靖国、戦犯等8月になると毎年この種の文、話多くなりますが、8月に限らず戦争の悲惨さは語り継がなければなりません。 また、関玲衣子氏の論文抄、格調十分。村や地域、家庭の連帯意識乏しい時代、背景がホリエモン、村上ゼニゲバファンド、メール依存の自立性欠如の礎地なのかしら。国家予算の7〜8倍の借金を抱えてなお無駄消費の已まない官僚、財界。悪に走る警官、教育者。親が子を、子が親を殺す昨今の日本の現状は全く異常でお話しになりません。 傍ら藤原正彦氏の『国家の品格』他、それだけ読まれているのは、中高年が主読者層としても日本もまだまだ見込みがあるのかなと思ったりこもごも。 政治、経済、民生(教育思想)等先行き見通しないまま昭和一桁生まれは半ば達観、傍観。子、孫の世代に負の資産を残す心苦しさを微醺でまぎらわし、無我、忘我で旅立つのみか。 大藪正哉老師「いのちを大切に」の中で、呼吸、睡眠、食事等いろいろなお話が書いてありました。ごくごく普通のお話のようですが、全てが絶対に必要な事です。一つでも欠けると終わってしまいます。 小生もどこかに片寄らずに平均に全てをとれたらいいなと思います。少しアルコールの入った水も体に入れ、心地よい食事をとり、睡眠をとりながら生きたいと思います。 |